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「一本の樹を主軸にして」BO BEDRE 2018年10月号

更新日:2019年3月4日

デンマークのガストロノミックとして頂点に君臨するスターシェフRASMUS KOFOED氏は北シーランドに位置する、昔サマーハウスとして使われていた一軒家に移り住みました。今は一年中のオアシスとして暮らす彼と彼の家族の生活に密着取材。



人生において家族また自身にとって最良の生活を求めることは、トップシェフとして毎日多忙な日々を過ごしているRasmus Kofoed氏には容易な事では有りません。しかし彼はパートナーのMaja Bak-Hansenと共にコペンハーゲン中心地Frederiksborgより避暑地の別荘として使われていた北シーランドの家に移り住むことを決断しました。新居探しで出会ったこの家は海より2分で 駅に近く、何より子供達が通う事になるRudolf Steiner学校にも近距離という立地条件と自然の中での家族の暮らしを叶えると言う利点が希望通りのものでした。普段彼女は弁護士としてコペンハーゲン市内に仕事の中心を置きRasmus氏においてはコペンハーゲン中心地Østebroにある彼のレストランの仕事をこなしていくのと同時進行で、彼自身が2011年に勝利を勝ち取りその後、未だに誰も到達していないミッシェランの星を1つ2つ3つと昇華させて行った土台となった世界的美食のコンクールBocuse d’Or-konkurrencenでのスーパバイザーして超多忙な日々の中で3人の子供の父親としての両方の役目を果たすことは、彼自身の訓育と妥協を許さない精神力が必要とされるのは言うまでもありません。そこで彼は頂点に君臨するレストランであっても数日間は閉店にして家族のためだけに時間を費やすことが重要と考えています。それは今では多くのレストランが実践していく兆候となりつつあります。





夏のある日私達は庭の中心にある大きな樹の陰に座り、昨年この家を手にいれてから短期間でレノベーションを成し遂げた過程を彼に聞いてみました。

「私は見た物を頭の中で非常に写実的に浮かべることができます。例えば厨房に立ち食材を並べ想像しただけで写真を撮った様に出来上がりの料理が映し出されます。この家に関しても同じでした。1950年代に建てられた当時の各部屋は暗く黒い天井であったので、いくつかの増築と共に新しいキッチン バスルームを改装するには最低8ヶ月は掛かりますと大工さんに言われましたが、それを1ヶ月半で契約しました。その期間家族は田舎のSamsøで暮らし 自分自身もレノベーションに参加して足りない部品や材料を調達するのに奮闘しました。その結果時間を待たずして部品を手に入れることで、時間短縮させる事が可能となりました。また元来ノコギリ作業や釘を打ったりする大工仕事が好きだったので天井の一部は私が作りました。」とRasmus氏は語ります。



集中して作業に関わってもらった12人の大工さんとの共同作業の大手術は大成功。

「一番重要なリノベーションのポイントは今まで暮らしていたFrederikbergの住居の明るさと空気感をこの家に移動させる事」とMaja Bak-Hansen氏が語ります。4つの小部屋を削除して大きく明るい空間をキッチンにあて、床暖房を設置して明るい木材のフローリングにしたことによって子供達の遊び空間やヨガなどの運動も出来るようになり、フローリングと同種の木材で収納家具やキャビネットを設置したことにより床と家具の一体化がより明るい空間にいる実感を与えています。室内外も最大限に活用され、子供達はそれぞれのテレトリーを持ち4才のKarljohanは自慢気に彼自身で育てたハーブを見せてくれます。キッチンでのお手伝いも彼のハーブを使いお料理すると誇り高く話してくれます。早い時期から良い生活を理解するのはこの様な始まりかも知れません。



「このジェラニュームを嗅いで見て」とRasmusに言われ葉を擦り嗅いでみるとコーラと全く同じ香りがするのに驚いてしまいます。彼が野菜やハーブを上手く取り入れた先駆者と言われるのも彼自身が体験して進化させていく事も 彼の生活がより大きな役割を担っている事を実証しています。

自然の中の大きな樹の下で手にかすかにコーラの香りを楽しみながら戴くコーヒーは美味しいものです。


<本誌2018年10月号p.148>















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