「裏庭への旅」BO BEDRE 2020年6月号
"rejsen til baghaven"

KamillaとBenjaminの裏庭のサマーハウス。以前そこは庭道具が収納されていた物置小屋。
夕陽を楽しむために此処に彼らは旅立つ。
飾られているのはデンマークの探検家Knud Rasmussen氏がBenjamin氏の祖母Violet氏に贈ったパーソナルメッセージ。Violetは彼のアシスタントを勤めていた。Kamilla達はKnud Rasmussen氏同様冒険家で世界についての興味は尽きる事がない。近い裏庭にある彼らにとっての遠い世界。

Kamilla&Benjamin Goings夫妻は現代の冒険家である。彼らは
人生の大半を世界の海の上で過ごして来た。今彼らが見つける冒険と夕陽は彼らの自宅の裏庭にある。そこには新たに建築された
チャーミングなサマーハウスがある。

Kamilla&Benjamin Goings夫妻は冒険家であり遊牧民である。彼らは一年の半分は彼らの子供二人を連れてアムステルダムで購入した愛船で世界に向けて航海の旅に出て来た。家族で修理し暮らしてきた船はもう一つの自宅である事に違いない。私達が訪れた直前まで彼らはスペインのカミーノ巡礼路を3日間1日35 Kmを歩いて来た所だと言って笑っていた。旅を愛してやまない彼らにとって重要なのは自分自身との挑戦。彼らの口癖は決して長旅で無くても常に自身を未知な状態に置く事で、世界を新しい視点で見る事が出来ると言う事。
KamillaとBenjaminは15年前に一軒家を購入する際Kamillaが育ったHillerød市のFreerslev Hegnの近辺に移り住む事を望んでいた。そして突然Landlystに有るこの家が売りに出ていた時は即決で購入した。そこは人の手の入らない自然と共存している場所で彼らの夢見る広々とした土地に馬が放牧出来る敷地があり、まるで二人を待っていたかの様であった。購入後彼らは建築家のLeif Larsen氏に連絡を取り彼と相談しながら家のリノベーションを開始した。彼らにとって最も重要なのは元々の家とおかれた場所を尊重しながらリノベーションする事であった。幾つかの壁は取り壊したものの元々あったキッチンから眺める畑の景色や小部屋、少し傾き加減の段、家の隅々に有る元の造りはあえて残した。少し傾いた段や小部屋は彼らに船にいる様な感覚を与えとてもアットホームな気分にさせてくれるからだ。家の中を見渡して見ると世界各国で集めたオブジェや家族の遺品で溢れている。小さな物でも大きな物でも全ての物に物語が付いて来る。
同じ様に庭にも沢山の体験場所や思い出があるとKamillaは語る。
「前所有者は農学者であった為植物の知識が豊富でした。庭には60年〜70 年前に植えられた西洋ツゲやツツジ 松の木があり同様に石壁も同じ年月が経っています。前所有者の彼は沢山の秘密の場所を設けて風除けや日陰を作っているので一日中気持ちの良い所を探す事が出来、多くの素晴らしいこだわりが彼の作った庭の隅々で見つける事が出来ます。彼の作った小さなオアシスを探しに私も自分の庭で宝探しに出かけます。」とKamillaは微笑んで語る。
裏庭の庭道具が置いてある場所に彼らは小さな幸せを見つけた。そこはとても風除けが良く美しい夕陽が楽しめる場所。この好条件の場所を最大限に利用する為にここに小さなテラスを作った。家のテラスの方がもっと大きいにも関わらず何時もこのテラスを利用する事になった。
「ここはとても穏やかな場所だった。そしてお互いに問いかけた。ここにサマーハウスを作るのはどう?条件としてバケーション感覚で落ち着いて休めて寛げる場所。そして美しい夕陽を眺める事!」とKamilla。
すぐさま建築家のLeifに相談した結果皆んなで同意したのは、元の家とマッチすると同時に全く別の家を建てると言う事。元々の家は多くの小部屋やエリアがあるのに対して、新しく建てるサマーハウスはとてもシンプルに作る事。この場所ではふんだんな空気と広々とした開放感のあるラインを取り入れる事が重要だと考えた。
「ここは同じ敷地内でも別の空間、ここに来た時小さな旅に出た気分になりバケーションに来た感覚で日常の考えも変わる事。景色も畑から森に変わるから。」とKamilla。
KamillaとBenjaminは全体を通してお互い人間として挑戦する事が大好きで、新しく置かれた場所で成長すると言う。それは具体的で比喩的であるけど確かに彼らが語る意味は豊富な可能性を持っている。裏庭での新しいサマーハウス以外でも彼らは子牛や放牧豚を飼う事や裏庭に小さなサーカスワゴンを作る事を計画している。そして沢山の人の集合場所である事。現在はブラジルから来た女性も一緒に暮らしている。もうじきKamillaのお母さんもここに越してくる。孫達も計画に入っている。
「私達が常に意識しているのは、同じ事は繰り返さない事。歳を取るに連れいつも挑戦しなくてはならない事を信じている。テラスに座って良く冷えた白ワインをただ美味しいからと飲むだけでなく自分のコンフォートゾーンから一歩、歩み出て新しい挑戦を試して見なくてはならない。色々な意味で旅する事は新しい物を試すができるから。今ここにいる事が自分の物語になって行くから。興味深い発見は母屋と此処で座っている感覚が全く違う事。光が違うからかもしれません。よく私達の友達がこの場所から離れられないのでは言います。此処なら繰り返し新しい発見があるから。」とKamillaは大きく微笑んで語る。

BenjaminとKamilla
余り手を加えず残した元々の家。
多くの狭い通路や傾斜した壁があり、屈んで通り抜けなくてはいけない場所は船の中で暮らしている様な錯覚を得る。
家の中には数々の家族の歴史、思い出のオブジェが飾られている。
元々の家と新しいサマーハウスが見渡せる庭。
新築のサマーハウスはモダンでシンプルな造り。
夫婦にとって重要なのは一つの異なった体験。新と旧の
合体。


新築されたサマーハウスは森によって風除けとなり、テラスより美しい夕陽が一望出来るのは、ゆっくりとクリエイティブなプロジェクトを作り出す場所であり完璧と言えるリラクゼーションとHyggeな時間を過ごす場所でもある。また一家がこの家に来た時感じる小旅行の感覚に捉われる場所。サマーハウスでは室外と室内で団欒出来るスペースがたっぷりと設けてあり友達を招く事が大好きな二人にとって理想的な造りとなっている。

サマーハウスでは剥製やオブジェなど彼らのエキゾチックな旅の痕跡が見られる。
モダンなミントグリーンのキッチンはShufl社より。キッチンとマッチしたターコイズのタイルはFile Under Pop社製。トロピカルな島国を連想させる浴室には床暖房とサウナを設置。Kamillaは此処で娘や友達とスパ週末を良く過ごす。


母屋とは正反対のシンプルなサマーハウス。広々とした部屋に加えてスライディングドアの効果で外と内が一つに繋がり開放感を与える。
寝室としても使用できるロフト部屋を設置。
贅沢な時間を過ごす大きな浴室。ミントグリーンで統一されたShufl社のキッチンは機能性に優れホームパーティが大好きな夫婦にとって沢山の人のおもてなしに活用している。
テラスにはアウトドアキッチンと小さなラウンジ。

<BO BEDRE 2020年6月号>