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「色の方程式 」BO BEDRE 8月号2020

"Farveformlen"



コペンハーゲンにあるアート

ライターLisbeth Bondeの

アパートでは、独創的なカラーの壁と数多くのアートコレクションが大胆に協演している。壁の色は芸術家Nils Erik Gjerdevikによるもので、作品のディスプレイは、

アートギャラリーのオーナー

Kerry Harm Nielsenが手がけた。作品と壁の色とが、日常に

刺激を与える、特別なダイナミックさを生み出している。





Af Mathilde Rude Foto birgitta wolfgang bjørnvad Styling stine Kirchheiner


LISBETH BONDEのアパートは、画家Nils Erik Gjerdevikによる彩色。それらの色は、建築やデザインの分

野で用いられる国際的な表色系「ナチュラル・カラー・システム(NCS)」に基づいて選ばれた。アートラ

イターという職業柄、Lisbethは多くの芸術家たちと出会い、

その作品を手に入れることで豊富なコレクションを築いている。

作品のディスプレイは、Galleri Kantの

オーナーKerry Harm Nielsenが担当。彼は、

Gjerdevikの配色と、特別な作品群をつくるということを意識した。右から、Ferdinand Ahm Kragによる大きな紙の作品、その上にはNils Erik Gjerdevikの

グラフィック作品が掛かっている。左上には、やや小ぶりな

Ruth Campauの紙で作られた作品、その下にあるのがKathrine Ærtebjergの絵画、一番下はAdam Saksによ

る水彩画。馬の頭部は、ギリシャの彫刻家 Fidias(紀元前 480-430年)の彫刻をBrdr. Funder Stukkatørerが

石膏で鋳造したもの。フロアランプTR7はTom Rossauの

デザイン。リュートはLisbethの亡き前夫であり画家のPreben Fjederholtのもの。



ダイニングルームは家具や絵画で溢れ、それらの協演が、対比と調和の狭間で素晴らしいエネルギーを生み

出している。特に目を惹くのが、Erik A. Frandsenの大きな作品「Lilies 8」で、鏡面仕上げのスチールに花

のモチーフが彫られている。そのスチールの表情をさらに引き立てているのが、Verner Pantonが1969年に

デザインしたシャンデリア Spiral SP01 Pendant Silverである。マホガニー製の帝国式サイドテーブルが、

この異彩を放つスチールに落ち着きを与えている。右手にはPreben Fjederholtの1988年作の絵画

「Timaios」、その下にはTórshavnにあるリトグラフィ工房 Steinprentで制作された、Peter Callesenの小ぶ

りなグラフィック作品が掛かっている。





色は様々な方法で私たちに影響を与え、私たちの中に多種多様な連想を呼び起こす素晴らしい存在だ。青色は空や海かもしれないし、黄色は夏の シトロン・フロマージュかもしれない。したがって、人が色と共に暮らすと決めるときには、日常で色からどのような影響を受けたいのかを決める必要がある。Lisbeth Bondeも、夫と暮らすコペンハーゲン Sortedam Dosseringの160平米ある広いアパートの色を決めるとき、そのことについて考えた。彼女は、今は亡き画家 Nils Erik Gjerdevikに部屋の彩色を依頼した。彼は、 アパートの中に非日常的でカラフルな流れを作り出し、それは Lisbethの壁のアートコレクションと見事に響きあっている。プロであり、熱意を持って芸術に携わるLisbethにとって、家の中で芸術に囲まれていることは重要だ。彼女の職業は、BOBEDREのアートライター、Kristeligt Dagblad新聞と オンラインアートマガジンkunsten.nuのアート評論家、そして作家であり講演家でもあるので、自宅はまさに彼女の職場なのだ。「自宅でアート芸術作品に触れ、学べることは、継続的な学習プロセスです。なぜなら、作品は絶え間なく新しい意味を与え、一日の間、一年の間で光や生活環境、気分に よって見え方が変わるのですから。よいアート作品というのは、決して完成することがないのです。夢と同じように、作品は構成、色、表面性によってその意味が凝縮されています。解釈は決して結論にはならないのです。」Lisbethは計算して出来上がったとは言い難い自身のコレクションについてこう語る。 むしろ作品は、彼女が芸術家から時間をかけて購入してきた。その多くは彼らが有名になる前である。全ての作品が特別なストーリーや由来を持つのはそのためだ。だから彼女は、壁の彩色を手がけたGjerdevikのことも、ここに引っ越す前から知っていた。目的は、一味違った家にするために、既にある アートコレクションを使って唯一無二の空間を創造することだった。2016年 6月のある日、彼は空っぽの部屋を訪れ、一日の間で光がどのように変化するのかを感じ、確かめた。次に彼は Lisbethに作品の写真を撮るよう頼んだ。 仕様やサイズにより壁に掛ける場所を決めるためだ。Allan Otteの大きな 風景画は、アパートの “ある場所” に掛けることしか考えられなかった。 それがまさしく、リビングのソファの上である。同時に、風景画の中に描かれた独特なテラコッタカラーの農場は、アパート全体の色彩を決める際の起点にもなった。「それまで、私たちは過激な色選びはして来ませんでした。 なぜなら、各色の持つ性質や、色同士が互いに及ぼす影響については、深い知識が要求されるからです。しかし、ここにある色はとてもよく調和していると、すぐにわかりました。今ではテラコッタカラーのリビングから、グリーンの仕事部屋を眺めるのを楽しんでいます。この相補的なコントラストが、純粋に目を楽しませてくれるのです。同じくらい素晴らしいのが、グレーのダイニングルームからみる明るいイエローの廊下で、その端にはブルーのキッチンが目に飛び込んできます。これら色はGjerdevik氏の素晴らしく洗練された配色と、複雑なパターンアートに非常によく似ています。残念ながら新しいものは、もう世に出ることはないのですが。」とLisbethは言う。すべての部屋が塗り終わると、Lisbethは友人でありGalleri Kantのオーナー、Kerry Harm Nielsenの手を借りて、作品を壁に飾った。それは夫婦が思っていたよりもはるかに大胆で広範囲にわたるセレクトとなった。いわゆるサロンディスプレイで壁全体がアート作品で埋め尽くされ、一部には心躍る絵画の作品群が現れた。壁の色と作品の展示という形での二人のプロフェッショナルの視線は、Lisbethの家に刺激的で独自のダイナミックさを生み出している。彼女は日々、それを楽しんでいるのだ。



Allan Otteによる、モダンなテラコッタカラーの農場が描かれた

シネマスコープ仕様のこの大きな絵は、アパート全体、およびこの絵が掛

かっている壁の色の起点になっている。この絵は、21世紀のデンマークの田舎の風景で、痛烈な文明批判をモチーフとしている。ハイテク化した農業のあり方は望ましくないのだ。だからこそ、タイトルの「Everything is Good Here」は皮肉ともとれる。

クラシカルな印象のMogens Kochの棚だが、Lars Nørgårdの表象的絵画が良い “はずし” となっている。LisbethはNørgårdの作品について書いた、自身の著書「Dårlige nerver」の関係でこの絵を手に入れた。棚

には Louis Rosen Schmidtによる2つの裸婦の小さい粘土彫刻や、彫刻家 Tine Hecht-Pedersenの、さらに小さなブロンズ像がある。ローズ

カラーを基調とした絵は、Leonard Forslundの作品。壁の色に溶け込んで、まるで3Dのような効果を生み出している。インパストという技法で描かれた抽象表現画はLisbethの友人であり、詩集「Farven græs blåt grønnere」を彼女に贈ったLars Danによるもの。下地のグレー色は、絵の中にある他の色を生き生きとさせる、均衡のとれた背景を作り出している。



LISBETHのグリーンカラーの仕事部屋では、壁の色とAlexander Tovborgの絵の色合いとが美しく調和している。この部屋からはリビングが見える。カラフルなアームチェアは、クリスチャニアのある男性から個人的に購入した。椅子の色は、

壁に掛かるNils Erik Gjerdevikの絵や、モビールや、図形を用いた絵で知られる抽象画家 Ib Geertsenのガッシュ画とリンクしている。この住まいの壁に使われた色は、NCS表色系の以下の通り:

リビングのテラコッタカラー:

S0540-Y80R

仕事部屋のグリーン:

S2020-B906 

廊下のイエロー:

S580-Y

キッチンのブルー:

S1555-R80






レモンイエローの廊下から見ると、この豊富な色たちはまるで家の中をせせらぐ川のよう。ここに掛かっているのは、

様々な形式や素材、スタイルの作品である。ドアの上にあるのは、Christina Hamreの描いた、

死んだような人間を背中に乗せ運んでいる神話上の動物のスケッチで、これは生から死への移行を描いたものだ。

キッチンはいわゆるコペンハーゲンブルーで塗られており、かつてはハエを寄せ付けないと言われていた。

Lisbethの家ではこの色は、Edition CopenhagenのErik A. Frandsenが描くフラワーモチーフの

グラフィック作品の美しい背景となっている。その上には2017年に描かれた、Emily Gernildの遊び心のある作品

「クロワッサン」が掛けられている。



寝室はシェーカースタイルの四柱式ベッドが空間を作っている。このベッドはアメリカ産の桜の木で作られており、

デンマークの職人がアメリカのオリジナルをリメイクした。Lisbethはこれを手ごろな価格で手に入れた。

枕はWilliam Morrisのオリジナルテキスタイルで、有名な海藻モチーフのもの。ベッドよりも高価だ。

ベッドの天井は透明感のあるグリーンの生地が張られており、寝転がるとその生地を通してシャンデリアと漆喰がはっきりと感じられる。

ベッドの後ろには、 Asmund Havsteen-Mikkelsenの絵画が、右にはPernelle Maegaardの刺繍作品「Jeg -私-」。

絵画「Silkeborg Badの夢」はLise Blomberg Andersenの作品。

ベッド右にあるモノクロの絵画は、Peter Martensenのもの。






<BO BEDRE 2020年8月号>

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