「温かい居心地の良いL字型の家」BO BEDRE 2019年4月号
"Varme og intimitet i vinkelhuset"

Kimie Giese Falk-Hansen氏とChristian Giese氏は完璧と言えるカップルです。彼女は様々な発想を展開させ、彼はそのアイデアを実現します。兎にも角にもふたりともたいへん前向きです。自分たちが暮らしていた規格住宅に飽きてきた時、二人は建築家の助力を得て新しい家を建てることを決心しました。その個性があふれる家を紹介します。


Kimie Giese Falk-Hansen氏は救急医療ナース兼ブロガーです。Christian Giese氏はかつて電気工事会社を経営していましたが、現在Electro Energy社で営業を担当しています。二人は南ユトランド半島のAskov町で3歳の娘Vegaと一緒に暮らしています。
巨大な番号表示やメインドア前には敷石があるので、家の入口はすぐ分かります。車庫にユーティリティルームを設置した事で、悪天候の日などは車から家に直接に入れるので、外の雨などで濡れる事なく家に出入りすることが可能です。
室内のコールテン鋼の板はKimie Giese Falk-Hansen氏の素晴らしいアイデアの一つ。それほど知られていないこのコールテン鋼は外側しか錆びませんので、絶えず変わる赤茶色が楽しめます。板の色は家の外壁の番号や家の前の照明と同じ色です。それで室内と室外の色の連携が生まれます。
庭に面している壁には大きな窓があり、壁は白石膏や温かいスギ材からできています。この組み合わせによって家は個性を持ち、しかも不朽の雰囲気を醸し出しています。


Giese Falk-Hansen一家の新築の家は色合いが鮮やかです。キッチンの一つの壁は青藍色になっています。キッチン家具が黒色なので、壁の青藍色がはっきり分かります。家中には真鍮の備品が輝きます。床と天井は木製で、そして玄関とリビングを仕切る壁は美しいコールテン鋼で覆われています。壁のきれいな表面を見ると、どうしても触りたくなります
「普段外で使われる素材を室内で使うと、家の外室と室内は一貫の空間として感じます」とKimie Giese Falk-Hansen氏が説明し、続けてこう言います。
「今回はもう少し勇気を出して、素材や色を選びました。前の家は白い壁やコンクリートの床があったので、冷たい、殺風景の個性のない雰囲気でした。インテリアの配置を変えれば、誰でもその家に住むことできたでしょう。でも私たちの家だとはまったく感じることができませんでした」
Kimie og Christian氏は以前にも自分の家を建てました。Christian氏は以前自ら電気工事の会社を経営していました。彼は自身の特技を活かして、前の家もこの家も自分で造りました。家の土台から屋根まで。エネルギッシュな夫婦の基本的な考え方は「何か失敗したら、やり直せばいい」。それは人生でも家づくりでも当てはまります。最初の家を建てたときは、建築家に依頼せず、規格住宅の中で気に入った家を選びました。二人の希望を取り入れてその家を設計専門家が調整しました。しかし、規格住宅はすべての人に汎用できません。
「家そのものは良かったのですが、私たちのニーズにはダイニングキッチンが大きすぎたし、天井も高すぎました。当時、私たちは高い天井にあこがれていたから」とChristian Giese氏が言います。
その家に二年住んでから、二人は家を売却し、南ユトランド半島のAskov町の新しい住宅街で土地を購入しました。もう一度マイホームを建ちたかったのです。今回は建築家のRasmus Bak氏に依頼しました。二人は彼のコントラストがたくさんのあるミニマルのスタイルをとても気に入って賛同しました。Bak氏と供に購入した土地や当時住んでいた家を両方見学し、長所短所を話し合いました。
「私たちが説明をしていた間、Bak氏が設計を書きました。それはまったく新しい発想でした。前の家のときはただのコピーペストでした」とKimie Giese Falk-Hansen氏が言います。
Rasmus Bak氏は二人の新しい家のアイデアやニーズを概括的に図面にまとめました。生活しやすい間取り、木材で柔らかい雰囲気をつくること、それは彼の提案でした。そして、土地のことも配慮しました。
「新しい住宅街なので、木もなにもないただの土地でした。そのため、家の位置が大事になり、どうやってプライバシーの保護や居心地の良い庭をどうつくれるか、考えました」とRasmus Bak氏が言います。
四角の家の代わりに、Bak氏はL字型の家にしました。そうすると、外のスペースが自然に出来上がります。家の大きな窓は南西向きの庭に面していますが、道路側には家の中が見えないように窓がそれほどたくさんありませんが 反面庭側には大きな屋根付きのテラスもあります。
多くの場合、新しい住宅街はオーペンなスペースがたくさんあるので、住民は互いに配慮しなければなりません。L字型の家はプライバシーが守られています。L字型によってそれぞれの部屋にいても家族が互いの居場所が分かるので室内でもくつろげる雰囲気ができました。
「夫は誰にも邪魔されずリビングでテレビ鑑賞をしながら、ダイニングキッチンにいる私たちを視野に入れることもできます。子ども部屋はダイニングキッチンのすぐ近くにありますので、私達が側に居ることがわかり、娘が一人で安心して部屋で遊ぶようになりました」とKimie Giese Falk-Hansen氏が言います。
Rasmus Bak氏は二階建ての住宅を二人に勧めませんでした。その理由は二つ あります。土地は新しい住宅街にあることや、子どもと大人が常に互いに確認出来ることの重要さ。
「子どもは親がいる場所にいたいので、二階建ての住宅は二階があまり使われることがありません。素敵な高い木がない新しい住宅街は二階が丸見えになってしまうので、プライバシーもありません」とRasmus Bak氏が説明します。
夫婦はその意見に同意しました。結果として、費用が少なくなり、Christian氏の負担が軽減されました。二階建の家を建てるほうが金銭的な面でも、手間の面でも負担が大きいからです。
「子どもが大きくなったら、二階建ての住宅を建てるかもしれない」とKimieGiese Falk-Hansen氏は考えています、既に将来の新しい家づくりの夢の設計を思い遺っています。

リビングルームの壁のペンキはSadolin社のトワイライトゥ・グレイです。家のすべて部屋は青色から薄バラ色、紫色、灰色までそれぞれの色があります。ソファテーブルやえんじ色のBeetle椅子はGubi社。
すてきなバーテーブルはNordal社。ソファはBolia社Sevilleモデルです。




ダイニングテーブルはピート・ハイン氏の楕円テーブルからインスピレーションを受けて作ってもらいました。夫婦は職人にテーブルを注文したとき、「円形でも長方形でもないテーブルを作ってほしい」と言いました。職人が作ったテーブルがその中間物です。テーブルは中密度繊維板の上セメント混合物がかけられたので、温かい色の壁や床とうまくマッチングする完璧でクールな印象に仕上がりました。
キッチンのタイルは夫婦が妥協してこのかたちになりました。本来Kimie氏は壁全体にタイルを張りたかったのですが、Christian氏は超過したものと思っていた結果この形で落ち着きました。タイルはMosaikhjørnet社からのHexagonモデルで、Tisvilde Blues色。
ミニマルなキッチンは暖かい雰囲気の真鍮の小物や木製の床がある事から素敵なコントラストに仕上がっています。キッチンはInvita社のKomet Laminatモデル。色はマットな黒色です。
コーナーのアルコープの下には隠れスペースがあります。Christian氏が天井を使った時に余った木材でこのアルコーブを作りました。両親がキッチンで食事を作っている時、Vegaちゃんのお気に入りの場所となっています。クッションはPytt Living社、赤い色の掲示板には真鍮のフレーム。Please Wait to be Seated社から。
ダイニングキッチンは家の中心です。前の家に比べて狭いのですが、スペースは十分です。これまでの経験を活かして、キッチンのシンクはダイニングテーブルに面して配置されているので、作業しながらの会話が可能になりました。


ウォークインクローゼットはバスルームのすぐそばにあります。Kimie Giese Falk-Hansen氏は出勤時間が早朝の時間帯もあるので、夫と娘より朝早く起きなければなりません。そのため、ウォークインクローゼットの位置が重要です。朝のシャワーのあと、彼女は寝室に戻らず服を着ることができます。クローゼットはInvita社。壁のペンキの色はRaspberry Pink、Sadolin社から。
区切りを作るため、Rasmus Bak氏はリビングと大人の寝室エリアの間、小さな段を入れました。小さな工夫ですが、大きな効果があります。この段があるので、娘がほとんど親の寝室に足を運ばなくなりました。設計によって、玄関から寝室の窓までは見通すことができますので、家は広く感じます。ニューヨークスタイルのアーバンドア。エレガントな雰囲気になります。ドアが透明なので、互いのことはすぐ確認できます。ドアはOne Funky Furniture社から。


メインバスルームの灰色のタイルはFactoryモデルのBlanco色です。Evers社から。夫婦は細部のものにもこだわりました。。例えば、後に手を伸ばさなくていいように、トイレットペーパーホルダーがシャワー室のグラス壁に取り付けられます。
すべての作り付けの備品や取っ手などは真鍮で作られています。インテリアにも家具、照明や小物も真鍮製。Kimie Giese Falk-Hansen氏は真鍮の温かい、生き生きしている色を好み、家中に真鍮のものがたくさんあります。
独立バスタブはSpacenteret社から。真鍮の備品はVola社から。

建築家が教えてくれた新しい住宅街で住宅を建てることのヒント
大きな植物を買いましょう。値段が高いこともあるが、価値があります。多くの人が思うよりも庭は大事なスペースです。新しい住宅地はあまり個性がないので、自分で工夫しなければなりません。
コーナーを作りましょう。家の形、植物などを活用し、コーナーを作ること。
二階建ての住宅はやめましょう。昔からある住宅地では二階建ての住宅は良いのですが、外のエリアに植物など何もない新しい住宅地ではプライバシーが守れません。
素材や色使いの組み合わせを工夫しましょう。そうすると、個性のある家にできるのでワクワクする雰囲気になります。庭の雰囲気もよくなります。
室内から外への良い見通しを作りましょう。すると、外と中がブレンドするようになります。

<BO BEDRE 2019年4月号P.88>