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「壮大な自然への邪魔されない視線 」BO BEDRE 1月号2021

"et uforstyrret blik mod den storslåede natur"


遮るものがない大自然の眺め

デンマーク人歌手TINA DICKOWとその夫でミュージシャンのHELGI JÓNSSONは、彼女らの夢の家を、美しくトウヒが生い茂ったアイスランドの丘陵に建てた。自然の偉大さは、彼らが長い歴史の中のほんの一部に過ぎzいことを思い出させてくれる。

「窪地」とTina Dickowが呼ぶこの小さなソファコーナーは、この家での彼女のお気に入りの場所。ここから移り変わる天気や自然の偉大さを眺めている。さらに、彼女は皆が段差、縁、ソファなど思い思いの場所に座れるところとても気に入っている。彼女いわく、それがダイナミックで生き生きとした空間を作っているという。

レイキャビクから45分の郊外、アイスランドで最も深く冷たい湖、シンクバトラの湖畔に、緑の丘陵に完全に隠れた建築家設計のモダンな家がある。デンマークのシンガーソングライター Tina Dickowとその夫でミュージシャン兼作曲家のHelgi Jónsson、そして3人の子供たちの住む家である。購入した当時、この土地には既に家が建っていた。しかし彼女らは風景に溶け込むと同時に、湖のパノラマビューがある家を夢見ていたので、元の家を解体し、最初から建て直すことに決めたのだった。

まず始めに彼らは家の裏のテラスへ行き、近隣住民の眺望を損なわずに何が建てられるのか確認。設計者となる友人で建築家のKristján Eggertssonへの提案の一部には、家は決まった一角に収め、全体は上から見たときに自然と一体化すべきという内容を盛り込んだ。

「基本的に、私たちはできるだけ多くの木を残したかったのです。 アイスランドでは木の成長のスピードがとても遅く、アイスランドの森で迷子になったらただ立ち上がればいい、というジョークがあるくらいです。ですから、私たちは必要最小限の木しか伐採していないですし、テラスには今でも光があまり入りません。私たちはとても大きなトウヒの木々が大好きなんですよ」そうTinaは話す。

木や自然、風景を可能な限り手つかずのまま保存し、家を自然な形で周辺に溶け込ませることは、この新しい家の建築においての基本条件であり、Kristjàn Eggertssonが図面に落とし込んだことでもある。

「この建物は、いくつかの段階で周囲の地形を形取っています。この木の家のコンクリートの基礎は、土地の傾斜に合わせて3段になっており、緑化屋根は傾斜した地形に一部は相対し、一部は添っています。配置は、建物を可能な限り周辺に溶け込ませ、厳選した眺望をフレームに収めるために、十分な配慮のもとで選ばれました」とKristjànは語る。

家の設計をしてくれる友人の他にも、Tinaの父とHelgiの父が建設を手伝ってくれた。彼らの愛情が壁の中に息づいていると夫婦は話す。また、この家は4、5年という歳月をかけて建てられ、その間に彼らは音楽活動に本格的に取り組みながら3人の子供を得たので、余計に人手が必要だった。

「Helgiがたくさんのことをしてくれなかったら、実現不可能だったと思います。彼が土地を準備し、会社が入れ物を作り、そのあとは自分たちの手でやりました」Tinaは言う。

「そう、最初の木を倒すところからショベルカーを使うところまで、険しい道のりでした。50cmで地盤に達すると予想していたんですが、最後には深さ3.5mの穴の中にいたんです!それは驚きであり、挑戦であり、とても辛い 作業であり、移り変わる季節の中の数えきれないほど素晴らしい夜明けと 夕暮れに満ちた冒険の始まりに過ぎなかったのですが。そして今、この夢の家で暮らせることが毎日嬉しいんですよ」Helgiはそう付け加えた。


北に向かってこの家が低い茂みへと緩やかな上り勾配になっているのは、メインの部屋からシンクバトラ湖とSkjaldbreið山への遮るものがない眺めのため。インテリアは落ち着いていてすっきりとした印象。この家は自分を休めるためのものであって、飾り立てるために建てられたものではない。自然がそうであるように。キッチンはオーフス近郊にあるTinaの故郷Aabyhøjの木工会社Culina社製。


夫婦はレイキャビクにも住まいがあるので、当初の考えでは、この家はサマーハウスであった。しかし現在では、第二の住まいとして一年を通して使っている。彼らがこの場所を最も愛する理由の一つが、手付かずの自然に面した大きなパノラマ窓である。

「アイスランドの景色で最も魅力的なのは、光と天気が一日の間にコロコロと忙しなく変わることです。外を見る度に天気が違うのです。湖の上を嵐が吹き荒れているかと思えば、太陽が顔を出し、少し雹が降ったかと思えば、 Ármanns山の麓で光が踊っているんです」とTinaが言う。

彼女とHelgiの双方にとって、自然の真ん中での暮らしは人生において大きな意味を持っている。ミュージシャンとしての創作活動のインスピレーションの源なのだ。「人間は大いなる何かの一部であるということを、自然は思い出させてくれます。私たちが眺めている山々はとても長い時代を経ていて、穏やかで風格があり、完全で。私たちの小さな日常で直面する問題なんて、全く関係ありません。明日がある、そう教えてくれるのです。5000年の歳月を経てもなお、それは変わらない。あの火山が、1万年前にこのあたりの全てを作りました。だから日常もその視点で見るようになるのです」Helgiが言い、Tinaがこう付け加える。

「私にとって、自然は心に余裕を与えてくれます。それが大いなるものの一部として存在しているという感動をもたらし、音楽を通じてそれに触れたくなります。Helgiにとって自然とのつながりは、さらに深いものだと思います。私はAabyhøjの住宅街で育ちましたが、彼はここで育ちました。彼の音楽を聞けばそれがわかりますし、彼という人間から感じられるでしょう。彼はここの風景を映したような人なんですよ」このアイスランドの自然に住むということは、 Tinaの音楽にも表れている。

「家を建てているとき、歩きながら、いつか世界がおかしくなってしまったら自分が住むのはこの場所だ、という歌を作りました。ここは世間の喧騒やドラマのすべてからとても距離がある。家庭菜園、湖で採れた魚、シンプルな暮らし。当時は深刻にそう考えたわけではなかったのだけれど、ここにいるときにコロナが発生して、デンマークは国境を封鎖し、すべてが恐ろしく不確かになったとき、突如としてそれが現実と化したのです!ここはすべての事から、本当に遠く離れているのです!」


この家は、デンマークとアイスランドの設計事務所KRADSが共同創設者のKristján

Egggertsson主導のもと設計した。TinaとHelgiが保存のためにあらゆる努力をした野生で手付かずの自然の中に建っている。周辺にはいくつかの家があるにもかかわらず、場所によっては自然がそのままに、一部は未開拓だ。だが、もし夫婦に尋ねるとすれば、本来はそうあるべきだと答えるだろう。


この家は4つの階層から成り、その異なる雰囲気や機能を通過すると、興味深い感覚が生まれる。キッチンの右側には寝室があり、そこでは第一ブロックからの景色を楽しむことができる。家の南西にあるメインの部屋は、木々に囲まれたテラスに面している。ここからは Jórutindur山とHátindur山が顔を覗かせると同時に、テラスから室内越しにシンクバトラ湖を望む。

「景色を望むテラスはいりません。リビングに座って、滅多に使われない庭の家具を眺めたりもしません。

それなら室内にすべて置いて、遮るものがない壮大な自然を暖かな場所から楽しむ方がいいんです」

Tina Dickow


アームチェアが暖炉の横にあり、本来はHelgiのお気に入りの場所なのだが、ここではTinaが占領している。ここに座って暖まりながら、Ármann丘陵からの景色とHrafnabjörg方面の景色が見られる。それと同時に、キッチンにいようと、

ソファに座っていようと、食卓についていようと、ここから部屋にいる全員とコンタクトが取れるのだ。 この緑化屋根は利用可能な緑の景色として設置した。屋根へのアクセスは、寝室兼プレイルームの天井と、ボート小屋の傾斜が始まっている場所から可能。屋根の端の一番上に立つと、湖とそれを取り囲む山々を望む壮大なパノラマの景色が広がる。インテリアは天然素材ですっきりとシンプルにまとめられ、周辺の環境が醸し出す、落ち着いた雰囲気を壊していない。



アイスランドの入浴文化アイスランドには特別な入浴文化がある。温水が地表のすぐ下を通っているので、汲み上げるのが容易だ。その温水を例えば、至る所にありTinaが一年中ほぼ毎日訪れる露天風呂に使われていたり、多くの人が自宅の庭に持つホットスポットに使われたりしている。雪が降る中、あるいはオーロラが空を舞う中、家族がそこに座って温かい湯の中で他愛もない話をする。その入浴文化は、バスタブをリビング、ダイニング、キッチンからなる空間の中央に設置したTinaとHelgiの家庭にも存在する。使用していないときは蓋をして、デイベッドとして使う。けれど子供たちはよくその周りで様々なことが行われている最中も、リビングの真ん中でお風呂に入っている。


最上階には、一人になりたい時に自分だけの世界に篭れる空間が見つかる。大きく美しい

ダグラスファーの板を用いるのは少し労力を要した。設置に際し、まずは板をデンマークから輸入し、次にサマーハウスまでの険しくぬかるんだ坂道を運転し、しとしとと降る雨の中それを運び入れた。元気に走り回る泥んこの子供達がいる別荘にこのような床を張ることは、面倒なことでもあるが、あたたかみと自然を宿したこの木材は、家に宿る魂の大部分を形成している。この住まいにたくさんある展望台の一つ。ここから大自然の眺めを楽しむことができる。バスタブがリビングの中央に配置されている。HelgiとTinaが自然の風景に向かって立つ。




<BO BEDRE 2021年1月号40ページ>

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