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「ファンキーな機能主義2019年」BO BEDRE 2019年9月号

"funky Funkis anno 2019"



特別仕上げの庭 昔からの大木はそのまま残し、何本かの天然木も植えました。必要に応じて、移動可能な大きめの竹などの植木鉢、籐籠を置きました。コンクリートの床のテラスは歩きやすく、芝生の脇のコンクリートの低い壁は庭をうまくまとめます。右側はグラスハウスとなっています。

Vejle市の郊外Mølholm地区では新築から古い家屋まで素敵な住宅が並んでいます。Pernille

L.FrandsenとThomas M. Hansen夫婦は1933年築の古い一戸建てを購入した際、リフォー

ムをするつもりだけが、結果的には日本の美学や整理整頓を応用する新型の省エネ

のミニマルな一戸建てとして生まれ変わりました。





Thomas M. Hansen氏41歳。21歳の時、Horsens市に本社を持つFrandsen Group社に入社以来長年Frandsen Projectの責任者としてホテル、レストラン、カフェ、店舗などの照明器具を開発する際、大手の国際設計事務所やデザイナーと共にプロジェクトを取り組む仕事をこなしてきました。今年の夏、Thomas氏はMuuto社のGlobal Hospitality部の責任者に転職し、世界に活動の場を広げています。

キッチンからの階段はテラスやラウンジエリアまで広がり、各段で腰を掛けることも可能。夢で描いたもの以上の良いものを手に入れましたと二人が言うように、今回の取材で納得させられました。




Pernille L. FrandsenとThomas M. Hansen夫婦は2013年、Vejle市の郊外Mølholm地区で

1933年築の老人ホームに入る予定の所有者の女性の息子さんよりこの一戸建てを購入しました。その女性は長年この家に住んでいましたが、後年は一部屋のみ使用していた為老朽化した家を、1930年代のスタイルに再現したいと思った際

リフォームに取り掛かる過程の中でミニマルなスタイルを取り込み

新しい、モダンな家にする事に決めました。このままオリジナルな家を再現すると

日々の暮らしがあまりにも非実用的になると感じたからです。元の家の別バージョン

を建てる事に決め、二人は設計士のRobert Hansen氏に細かい依頼をしました。外壁は

黒色やナチュラル/オイルのSuperwoodの木製に。家には多くの小さな部屋がありましたが、壁を壊し、

大きなキッチンダイニングを希望していたので部屋数の少ない大きな部屋にしました。

庭のほうに16m²の増築をして320m²の新しい家は2015年完成しました。

ここでは夫婦や11歳の息子のSimonが暮らしています。

「私達にははっきりしたアイデアはありましたが、設計士の専門知識は不可欠でした。至る所でBauhausスタイルを活かしたのは設計士です。家の特徴の一つは、家の中にどこに

いても外を眺めることができます」とはThomas氏の弁。

 Thomas氏はこの20年間、照明会社Frandsenで勤めていましたが、デザイン会社Muutoに

転職したばかりです。以前勤めていたFrandsen社ではThomas氏はサブブランドのRewiredの責任者でした。

Rewiredの照明器具はシャーブなライン、シンプル、ストレートなイメージで、品質を妥協

しない製品を数多くを作ることで知られています。Thomas氏は自宅のインテリアに同じスタンスをとってい

ます。シンプルなものが良いが、特定化されないものは絶対必要無いとは二人の生活スタイル。

個性や気持ちを反映する家を望んでいました。Pernille氏はFrandsen GroupのCOOであり、

Frandsenの創立者であるBenny Frandsenの娘として、デザインを重視した家庭環境で育ちました。

そのため、二人はどのような住まいを望むのかはっきりスタンスを持っています。二人の

住居は家具が数少なく二人のスタイルに合わせて黒色、灰色や白色で統一させ、多くの観葉植物を配置しています。

壁にかかっているアートはカラフルなもの。最近では新色の黄色のPanton椅子を購入しました。新し

いデザイン、自分のデザイン、引き継いだものやクラシカルなデザインは素敵な相補関係を生んでいます。

「私たちは全体像について同じ考え方を持っています。家に入ると、これが新築だという

気持ちにならないようにかなり工夫をしました。個性を活かした安心できる雰囲気が重要です。

そのため、ビンテージのデザインを取り入れました」

夫婦は家のインテリアをよく入れ替えます。進化中のプロセスです。

母が遊びにくると、いつも「あら、まだ家具の場所を変えたのね」とThomas氏が笑いながら言います。

 庭は特別に力を入れました。庭の改装に50万クローネがかかりました。夫婦は設計士と供にレイアウトを考え、庭は素敵で美しい空間に生まれ変わりました。植物を育てるグラス張りの部屋も設計士と話し合って決めました。

 この家は家族のパーフェクトな基盤になりました。Pernille氏はHorsens市にある家族経営の会社に勤め、Thomas氏は自宅勤務やコペンハーゲンに勤務する事もあり、外国出張も度々あるので、高速道路から5分の距離にある自宅の静かな環境から、多方面に出かけて行けます。










庭のラウンジエリアの中心はHoue社のソファ。どしゃぶりの雨の後、二時間で、ソファのカバーが完全に乾きます。

突き出し部やコーナー窓は機能主義のデザイン。

庭の奥にはテラスになった台地を作りました。ここでは折りたたみベッドから白夜を満喫できます。

庭のダイニングテーブルでよく新聞を読みます。

折りたたみベッドはIDEmøbler社から。

庭の素敵なコーナー。夫婦は庭や住居周辺にくつろぎのコーナーを作りました。そのスタイルは日本からインスピレーションを多大に受けました。庭用のテーブルやベンチはMuuto社の新商品。深緑とからし色、二つのバージョンがあります。ここでは深緑が周辺の色や植物と良いハーモニーを醸し出しています。





玄関から広がる階段は二階や地下室と繋がっています。地下室にはゲストルームが。

Verner Panton氏が1964年デザインしたハンギングチェア、Flying Chairの後ろにUlla Lundsgart氏の作品。コーナーにはアメリカのスターバックス社のためにデザインされたプロジェクトランプ。

Ikea社のIlse Crawford氏がデザインした低いコルクベンチには卓上用大型本がたくさん置いてあります。つり下げの照明器具はLyfa Tivoli Divan 2、Simon Henningsen氏が1962年にTivoli公園内のレストランDivan2のためデザインしたもの。ベンチにおいてある照明器具はRewired社のMinneapolis。

リビングルームにはMuuto社のOutlineソファ、Pernille氏の祖父母から引き継いだテーブル、四脚のCH25ラウンジチェアはHans J. Wegner 氏がデザインし、Carl Hansen & Søn社から。






キッチンは職人に特別オーダーして作ってもらいました。屋根の巨大な照明器具はFrandsen Project社の限定販売のものです。この照明器具は世界で三つしかなく、もう二つはオランダの首都アムステルダムにあるHotel Zokuにあります。ダイニングテーブルや椅子はビンテージ、Børge Mogensen氏やJørgen Bækmark氏がデザインしたものFDB-møbler社から。

壁の絵画はOle Tonsgaard氏の作品。

大きな窓越しに季節を楽しめます。窓の前の台はMuuto社。

黒いビルトインキッチン棚はSchmidt Køkken社から。床から天井まで棚を提供できる会社は数少ない。





開放感のある部屋のモダンな本棚の前にはWegner氏がデザインしたFlagline椅子が置いてあります。その隣はRewired社から照明器具DroidやVerpan社からのPantonテーブル。本棚にはPernille氏が親から引き継いだ本が置いてあります。窓際にはRobert Hansen氏がデザインした照明器具。Frandsen Design Studioから。

窓際には美しいカラフルなビンテージグラス。

二階のバスルームは大理石でできた砂色のタイル。Duravit社からの大きなスパ。庭を眺めることもできます。

寝室も二階にあります。クローゼットはブロンズ色の鏡扉。絵画はPernille氏の両親が地元の店で買った彼らの最初のアート作品。

ベッドの隣はVerner Panton氏がデザインしたBarboyテーブル。Verpan社から。Friis & Moltke氏がデザインした照明器具はRewired社から。






ガラス張りの部屋は温室、ぶどうの植木や倉庫になっています。

猫は土地を囲む低いコンクリート製のお気に入りの壁に座っています。建設費用が高価なものについた壁ですが、土地との良いフレームになっています。猫のように人間もここに座って一休みできます。



昔と今

リフォームが始まった2013年、1933年築の建物はこの様子でした。Hasen夫婦と設計士のRobert Hansen氏は2015年Vejle賞を受賞しました。その理由は「一戸建てのモダンな建築スタイルを保ちつつ現代の形にリフォーム可能にした事。品質の良い素材を活用し、徹底的なリフォームにより、美しい住まいに変貌を遂げ、庭との協調性もあります」

庭は特に印象的です。この建物を購入した時点で庭は雑草が生い茂り、Hansen夫婦は庭の大きさを把握できませんでした。庭の手入後、建物との美しい協調性が生まれ、素敵な空間となりました。予算以上に費用がかかりましたが、結果的に、Hansen夫婦は非常に満足しています。







<BO BEDRE 2019年9月号P.58>

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