「カラフル 」BO BEDRE 2020年2月号
"farvesat"

ロンドンのビクトリア朝風のタウンハウスでは色彩がインテリアのムードを決める要素となっている。それぞれの部屋にはそれぞれの
メインカラーがあるが、すべての色がうまくブレンドし、高級ホテルのような雰囲気を生み出している。旅先の思い出の品や引き継いだもの、典型的なデンマークのデザインといったここで暮らすデンマーク出身の
カップルの個性あふれスタイルがその雰囲気を一層高めている。

ビクトリア朝風のこの住まいにあるのは、ハイパネルや花を円形に飾ったデコレーション、そして質の良いインテリアのみだ。机はJohn Lewis社。Vitra社の椅子はCharles & Ray Eames夫妻がデザインしたもの。タンスは親戚から引き継ぎ、皮で編んだ椅子はイスラエルで購入した。温かみのあるグレーは落ち着いた雰囲気をもたらす。

カップルのJonas Rask EilersenとBen Rosenbergには二人の子ども、TeoとEvaがいる。Jonasはラグジュアリー旅行会社を経営し、Benは住宅リフォームの仕事をしている。二人の職業が家の建築にもインテリアにも反映されている。
細かいところまで気を配られていることがこの家の特徴だ。キッチンに使われた個性的な大理石はブラジル産。キッチン本体はイケアのものだが、扉は扉づくりが専門のHØLTE社がキッチンに合わせて作った。カウンターの高い三脚の椅子はイケアで購入。1945年製のVilhelm Lauritzen氏がデザインしたRadiopendelと呼ばれる照明はLauritz.comで購入した。


明るい大理石はダークな木材と薄い緑と合わせると、モダンかつオールドファッションな雰囲気になる。
キッチンにはリラックスしながら、その日の料理担当と会話ができるニッチができた。キッチンのスペースをフルに活用する一方、たくさんある窓から自然の光がふんだんに注ぐ。
美術大学を卒業したBenが描いた絵が、親戚から引き継いだダイニングテーブルの後ろに飾られている。Vitra社のダイニングチェアはCharles & Ray Eames夫妻がデザインしたもの。Poul Henningsen氏がデザインしたCharlottenborgというペンダントライトはLauritz.comで購入した。テーブル上の花瓶はイケア。薄グレーの壁にあるダークカラーのパネリングが、部屋に少しドラマティックな印象をもたらす。




作り付けの本棚はビジュアル的にもインパクトがあり、図書室にいるような気分になれる。
リビングルームは、この家のなかで最も明るい部屋であることからThe Blond Roomとも呼ばれている。部屋が北向きで明るい色が必要なので、壁とパネリングにはそれぞれ違うグレーを用いた。Rais社の薪ストーブが部屋を温かい雰囲気にしている。編み皮の椅子はフリーマーケットで見つけた。Jonasの父がソファテーブルを作ってくれた。デンマークの典型的なデザイン家具もある。Finn Juhl氏がデザインしたソファ「Poeten」。House of Finn Juhlから購入。Arne Jacobsen氏がデザインした照明スタンドはLouis Poulsen社。Vilhelm Lauritzen氏がデザインしたペンダントライト「Radiohus」。ビクトリア朝風の家は大きなガラスのドアを入れてから、モダンな見た目になった一方で、1800年代の特徴である高いパネリングや床の模様は踏襲した。高品質な床は、Ecowood社の22mmのソリッドオーク材。子供用の椅子はBørge Mogensen氏がデザインしたもの。


二階はシンプルなインテリアにダークで温かみのあるグレーブルーでホテルのスイートルームのような雰囲気を出した。
スタイリッシュに整った寝室のベッドやシーツなどはイケア、照明はLe Klint社、サイドテーブルはホームセンターで購入した。
親戚や友人が世界中にいるので、彼らが訪れた際のゲストルームは必須。グレーの壁はイケアの黒いフレームのベッドの背景としてちょうどいい。壁の照明はBTC社。高級な雰囲気を出すため、窓枠やラジエーターはダークグレーにした。

skab stemning med farver
色を活かして雰囲気をつくる
忙しい毎日を送るこの住まいの住民がくつろげるマイホームを作るため、Darling Creative Studioは様々な色を厳選し、まるでハグをされているような温かい色のトーンに統一した。そのため、壁やパネリングには色々なトーンの緑やグレーを使った。白や黒はあえて使わず、はっきりとしたコントラストを生み出す白の代わりに艶のあるクリーム色を使い、黒の代わりにダークで温かみのあるグレーを使った。それらが合わさることで、住まい全体に高級感があふれている。各部屋の向きや機能も配慮したので、すべての部屋に独特な趣がある。使われた色によってソフトで高級な雰囲気があり、ロンドンのタウンハウスにもぴったりだ。


バスルームの中でも存在感があるのは180 cmのマホガニー材の家具。フリーマーケットで買った時は緑だったが、塗装して大理石の板を付けた。ステンレスの蛇口はCEA社製。
バスルームは完璧に仕上がったので、カップルのお気に入りの場所でもある。Zellige社の手作りのモロッコ産のタイルはJonasが泊まっていたホテルの部屋にあったもの。Benがそれをみてとても気に入り、すぐに工場から取り寄せた。床の黒い大理石はトルコ産、壁の白の大理石はイタリア産。バスタブはAston Matthews社から。

<BO BEDRE 2020年2月号>