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「アートがなければ世の中は回らなくなる」BO BEDRE 2019年8月号

"går verden i mental betalingsstandsning"






Tania & Thomas Asbæk氏はアートコンサルタント。どの作品を買うべきか、クライアントにアドバイスをすることが彼らの仕事。コンサルタントは一般的にドライなイメージがあるが、二人はイキイキしている。二人のカラフルな邸宅を訪れ、彼等のアートコレクションを鑑賞しながら、アートの大切さについてインタビューしました。












亡くなった三匹のモグラ

画家のKurt Trampedach氏の作品。自身がスペインのバスク地方で見かけたモグラをモチーフにして描いたもの。Tania Asbæk氏は激しく、人々をゾッとさせるアートがお気に入りで、醜いことのなかには何かの美があると思う彼女にとって、この絵は気に入りの一枚。

Tania & Thomas Asbæk氏

彼らの展示スペースのCollaborationsにて。Tania氏が座っている椅子はFrederik Paulsen氏がデザインしたものでEtage Projects社より。壁にかかっている絵画はデンマーク人の画家Preben Hornung氏の作品。当時、Hornung氏のモチーフは大いに物議を醸し出した。当時Hornung氏は自分のアートをよく論議する事で有名だった。

Rolling Stones

というこの作品はオーストリア出身のMichael Gumhold氏の作品。

リビングルームの絵は

真菌胞子の写真。Karl Troels Sandegård氏の作品。テーブルにおいてある花瓶はアーティストのKlara Lilja氏の作品。テーブルの上のランプはVerner Panton氏がデザインしたもの。椅子はBørge Mogensen氏やJørgen Bækmark氏がデザインし、FDB社から販売されている。






「私にとってアートは非常に重要で不可欠なことです。大げさに思われるが、私は人間がアート無しで生きていられないと思っています」とThomas Asbæk氏は語る。

Tania & Thomas Asbæk氏と少しの時間を過ごしたなら、彼らにとってアートは非常に重要で生活に欠かせないものだはっきり分かる。二人がアートを語り始めると、たちまち目が輝き少し興奮気味に熱弁になっていく。アートは調子、生きがいや機知に影響するミラクルなもの。Tania氏やThomas氏は小さい頃アートの魔法にかけられたことに違いない。現在アートと共存している二人は生き生きし、あふれるエネルギーや驚くほどのアート知識を持っている。

彼らの言葉を借りて言うと、アートに囲まれて育った環境の影響によるもので、Tania氏の母親は美術史家であり、年少の頃からTania氏はアート鑑賞の為世界中を回ったとの事。最初は母親と一緒、その後は一人で。Thomas氏は芸術家を親に持つ。彼の親、JacobとPatricia Asbæk氏はコペンハーゲンにあるGalerie Asbækを創立した。アートサロン、トーク、ハプニングなどあらゆる面でデンマークのアートシーンに大変革を起こした。彼の両親はアートの扉をあけ、大衆でもアートが手に入る様に奮励した事で知られている。。

 ある意味、Tania氏やThomas氏は現在、二人共に同じ目標で動いている。個人客、民間企業や公的機関に対するコンサルティングをする他、コペンハーゲンにあるStore Kongensgade通りでCollaborationsという展示スペースを経営している。ここでは実際の作品を展示し、来客にアートを熱く語る。

 展示スペースだけではなく、コペンハーゲン中心部に近くにある二人の自宅でも壁は絵画で覆われている。至る所にアート作品があり、各作品に個々の物語が伝わる。アートによって二人の住まいは想像力に富み、名作に潜んでいるストーリー、アイデア、感情に没頭したくなる。

 「常にメンタルな改善ができる日常環境を作ることが大事です。時にアートは大きな刺激を与えてくれる。アートを観察することによって、必ず得る物がある」とThomas氏は語り、そしてTania氏がこう続けます。

 「自分がアートからどんな影響を受けているかを絶対的に掴み取れるとは限らない。アートの影響は自分を刺激させ、自分の五感を研ぎ澄ませてくれます。アートによって新しいアイデアや考え方が生まれるし、自分の見解がもっと解放される手助けにもなっています」

 「アート作品に対しては様々な接し方があるし、多種多様な水準で作用されることがあります。美学的な価値のあるアート。政治的な価値、歴史的な価値、心理的な価値、五感を刺激する価値など。そのため、その作品が良作かどうかという質問はかなり難解なことだと思います。しかし、どのように作品を評価するかはその作品の価値を最大限に相応させてやる事。」

 「良質のアートには出会いがあります。作品を鑑賞する人、作品のアーティストやそのアーティストの世界との間合い。他の出会いと同様にタイミングがあります。つまり、瞬時の共鳴があるか、共鳴がまったくないか。それは観る人が悪いか、作品が悪いとかの関係ではありません。タイミングの問題です」とThomas氏が説明する。

 アートに対する感覚は時間と共に変わるし、観る人の立場によっても変わるから、アート作品が必ずしも一生所有するものとは限らないものです。とTania & Thomas氏は強く強調する。そのため、アート作品を購入する際、作品は長い目で見ても価値があるかをよく検討することがとても大事です。幸運にも作品を転売することで利益を得ることもあります。Tania & Thomas氏自身も自宅のアート作品を定期的に入れ替えたり、展示場所を変えたりする。そうすると、作品が新しいコンテキストで観ることができる為、新しい意味が追加されたり発見があります。二人の自宅は作品を継続的に取り替えることによって、二人の考え方、アイデアや感覚を刺激する生き生きとした枠が生まれる。

 「アートがなければ、世の中が回らなくなる。どこに向かうべきか知るため、アーティストが作った灯台が私たちには必要だ。それを少し工夫し、アートの向かう方向に寄り添っていれば、素晴らしい経験が得られる。僕はそう思う。それに、様々な形でアート作品が楽しめる。アート作品を所有することは一つの楽しみ方だが、アートを通して得られる体験も大切だ」とThomas氏は言います。



青緑色のキャビネットの上に

Asger Dybvad Larsen氏がマヨルカ島で作ったテキスタイルの作品がかかっている。羊の頭はDoris

Bloom氏作。透明のグラスボックスにはディスクやカセットテープなど年代別の情報や記録が置いてある。John M. Armleder氏の作品の名は

「Whatever by

Whoever」。

INSPIRATIONS 60 MIN」は

Karl Troels Sandegård氏が作った真鍮作品の名称。閉鎖された部屋の中で呼吸することを視覚化のさせたもの。

HERBERT ASBÆK氏

Tania & Thomasの男児。彼の絵はフレームのRamnに入れ、壁にかかっている。このフレームには30枚の絵を収まることができる。

キッチンでは

Adam Jeppesen氏が撮った写真がかかっている。複数の思い出がこの一枚の写真に納まれている。普通の写真でありながら、二人は多くの旅にこの写真を持ち歩いたため、写真が折られている。このように写真の扱い方も一つの思い出になる。椅子やスツールはオランダ人Piet Hein Eek氏がデザインしたもの。





「アートというのは作品を観る人と作品の間に生じる考えるプロセスである。雰囲気と物語である。新しい世界への入り口、感覚を拡大するもの。そして世の中にある唯一のポジティブな麻薬である。アートにハマったら、絶えずもっとほしい!」

とTania Asbæk氏



ソファの上

デンマーク人画家のJacob Steen氏が描いた大きな絵画がかかっている。Thomas Asbæk氏はアートのジャンルの中で油絵を好み、Jakob Steen氏の特殊な描き方を特に気に入っている。PolderソファはVitra社から。ロッキングチェアはEames兄弟がデザインしたもの。

SELFPORTRAIT RESPIRATION PERSPIRATION

という作品はKarl Troels Sandegård氏が制作した少し変わった自画像。自分の汗とまったく同じような分量の塩分や他のミネラルの成分を作り、その液体を複数のメタルの板にポタポタ落とした。板の表面で化学反応が起き、液体が様々な形で固まった。このように、作品がかかっている部屋にアーティスト自身が常に存在している。

カラフルなタコは

Katja Novitskova氏が作ったもの。Julien Ceccaldi氏が漫画のような絵を描いた。


COLLABORATIONS BY TANIA AND THOMAS ASBÆK

Tania & Thomas氏はコンサルティング事業に携わるが、Collaborationsというフレキシブルな展示スペースも経営している。世界中のギャラリーから借りる国内外のアーティストの作品を継続的に展示する。コンサルティング事業は個人、民間企業や公的機関が対象。二人はできるたけ多くの人に良質のアートを届きたい。詳しいことはcollaborations.dk又は直接にギャラリーで、Store Kongensgade 118. 8月30日からの展示はEvren Tekinohtay氏の作品。





<BO BEDRE 2019年7月号P.54>

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