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「アマリリス - たくさんの名前を持つ花 」BO BEDRE 11月号2020

"Amaryllis - Blomsten med de mange navne"

彫刻のように美しいアマリリスは、たくさんの人々にとってクリスマスの「定番の飾り」である。多くは赤か白の大きな花だが、実はさらにたくさんの種類が存在し、それぞれの表情と名前がある。世界的に有名なフラワーデザイナーAnnette von Einemが、この個性的な花を、如何にして、今まで見たことのないクリスマスの飾りに仕立てることができるのか教えてくれた。



とてもシンプルでありながら、インパクトのあるビジュアルを生み出す、フラワーデザナーAnnette von Einemのクリスマスデコレーション。一本のマツの枝をベースに、毎日この枝にキャンドルの灯をともしていき、クリスマスイブには24本のキャンドルがきらめくカレダーとなる。普通、花は上向きにするのだが、この美しいアマリリスは下を向いていて、宙を舞っているかのようだ。Annette von Einemのアートを真似したければ、マツの葉を取り除くこと。より一層彫刻のように見える。アマリリスの花に、まず針金を一本通し留め金を作ってから、縫い糸を通す。生き生きと見えるように、糸は様々な長さに切ること。このリース自体は12月いっぱいもつので、(それだけでもシンプルで十分に美しいのだ)花が吊り下げられるのはクリスマスイヴか、その前日だ。開花したタイミングで摘み取られ、水をあげることができないので、花はもちろん枯れてしまう。デコレーションを安定させるには、リースを支えることのできるこの太いシルクリボンのようなリボンを使うことが重要だ。キャンドルはester & erik社、キャンドルホルダーは CC Hobby社のもの。


「タンゴ」は新種のアマリリスのひとつで、花びらがより繊細に分かれており、一段とシャープな印象だ。この花は濃いボルドーからライム色へのグラデーションが美しいのも特徴だ。なかなか見かけない花で、花屋に注文しないと手に入らないことが多い。このアドベントリースは、私たちに新しい解釈を見せてくれる。マツの枝と、長い茎のアマリリス以外の飾りを使うことなく完成しているのだ。花を下向きに吊るすことでデコレーションに深みを与え、リースに植えられ

た2つのアマリリスの球根が、さらにその深みを強調している。花が萎れていき、そして球根が芽吹くことで、リースは絶えずその表情を変えていく。アマリリスの茎は水が蓄えられるように空洞になっているので、通常のブーケと同じように1週間ほどはもつ。針金を茎に通し留め金を作り、そこに糸を通して吊るしている。マツの枝は黒い針金で束ねられ、松ぼっくりやコロキアも括り付けられている。きらめくクリスマスの雰囲気を作るため、ester & erik社の金色のキャンドルとともに、リースにはバイオグリッターを少し振りかけている。


大ぶりで、洗練されていて、かつ印象的なアマリリスの花は、冬の間たくさんの家庭のリビングに君臨している。もちろん言っておくが、これは壁紙に添えられた植物としてではない。たくさんある呼び名のひとつが、「世界の方位」なのだ。ただ実際、私たちは「ridderstjerne」か、この南アメリカの植物の正式名称「ヒッペアストルム」と呼ぶべきだろう。このアマリリスという美しい名前は、アフリカの「アマリリス ベラドンナ、別名ベラドンナリリー」が由来だが、これは全く別の球根植物だ。それと同じように、本来春に咲くはずのこの花の開花時期も偽っている。アマリリスは私たちのクリスマスを彩る重要な植物なので、秋に市場に出回る。つまり、誰でもこの素晴らしい植物をクリスマスイブに咲かせることができるのだ。開花までは6〜8週間かかる。11月の第1週に植えれば、開花までの期間を光と温度で調整することが可能だ。日当たりを良くし温度を上げれば開花が早まるし、逆のことを行えば開花の時期は遅くなる。すべての養分は球根に蓄えられているので、扱いやすい花でもある。そして球根が大きいほど、茎も多くなる。

私たちがよく目にするのは主に赤や白だが、桃色や淡いピンク、ダークレッド、紫や茶色味がかった赤、ボルドーのような赤に、ストライプやまだら模様のものなど、想像を超える数の色が存在する。また、花の構造においては、よく知られた柔らかくて大ぶりなものから、線の細いものまでと幅広い。だからこそ、世界的に有名なフラワーデザイナー Annette von Einemのように、大いに芸術的な表現を生み出すことが可能なのだ。彼女はシンプルな方法で、自然の中にあるものと、この特別な花を組み合わせている。次のページからは、彼女の美しいクリスマスデコレーションの中から集めたインスピレーションの数々をご紹介しよう。



アマリリスはほかの球根植物と同じく、クリスマスには最高の花だ。球根植物としても切り花としても扱いやすく、アマリリスの球根を育てるのには6〜8週間、花を咲かせるのに4、5日かかるため、長い期間手元における植物である。切り花の場合でも1週間ほどもつ。このエレガントでたっぷりとしたボリュームのブーケは、白い「モンブラン」、白地に赤い縁取りの「ピカソ」、そして中心がピンクに色付いた「ニンフ」という3種類を合わせたもの。この色彩の変化は上品なコントラストを生み、それをLouise Roeの落ち着いたローズカラーのバルーンベースがさらに際立たせている。 

何よりもまず、この幾重にも重なったブーケがアート作品のようである。Annette von Einemはまず、束ねて固定したマツの葉でリング支柱を作った。中心にはクラシックレッドと、新種で縁が擦れたライム色のアマリリスを合わせたものを生けている。ブーケの上に漂うボルドー色の植物は軽やかさを生み出していて、Louise Roeの落ち着いたダークグレーのバルーンベースは、重厚な対比となっている。



たくさんの名前があるように、豊富な種類が存在するアマリリスについて、賛辞を幾たび耳にしたか知れない。 

上段左から右に/

1.「ロイヤルベルベット」ダークレッドの

やわらかな花弁

2.「バルバドス」は中心の白色が印象的

3. ダスティオレンジの「ナランハ」 

4.「ベントレー」は中心のピンクが全体に

広がっている 

5.「メガスター」はまだら模様の花弁 

6.「タンゴ」尖った赤い花びらがライム色へと広がる 

7.「ダンスバレー」は中心のピンクと細い

花びらがユリに似ている 

8. 鮮明な赤が美しい「フェラーリ」 

9.「レーヴ」は繊細なピンク色 

10.「ピカソ」花びらが赤く縁取られている11.「ニンフ」の花びらはキュッと密に

なっている


クリスマスツリーはモミである必要はなく、独創的なアプローチをするならAnnette von Einemのように、代わりに別の種類の木を使うこともできる。彼女はニワトコをスプレーで白くし、数種類のアマリリスを枝に飾った。それはまるで赤いクリスマスオーナメントのようだ。アマリリスは茎に金色の針金を入れて留め金を作り、縫い糸で吊り下げた。




森のモミと木の枝が、クリスマスのオーナメントとして自然にまとまっている。ランチョンマットのようにくっつけたマツの葉が皿の下に敷かれ、さらにテーブルの花飾りとデコレーションにも使われたことで、統一感が生まれた。マツの葉を接着するのが難しければ、ただテーブルの上に散らすだけでもよい。異なる色や種類のアマリリスが、青草やマケドニアマツ、冬に姿を現す「pigeon」や「paradisæbler」といったリンゴの枝とともにおしゃれな暮らしをつくってくれる。リンゴの枝が手に入らなければ、赤いウィンターベリーでも代用可。琥珀色やピンクのフラワーベース、シャンパングラスは Louise Roeのもの。ゴールドはクリスマスの色であり、Annette vonEinemは真鍮のキャンドルホルダーとキャンドルを用いて控えめに演出。キャンドルホルダーは55°North、キャンドルは ester & erik社製。ダークカラーの陶磁器の皿は、Louise Roeのもので、クリスマスのテーブルに素朴さを生み、マツの葉やまだ青い松ぼっくり、アマリリスなどのテーブルデコレーションを引き立てている。大ぶりなアマリリスでクリスマスのテーブルを豪華に彩ることができる。このテーブルでは、青草やリンゴやマツの枝の高さ、色、構成による大胆な組み合わせが特徴。落ち着いた色合いのリネンのテーブルクロスとナプキンはLovely Linen社、黒いキャンドルホルダーは55°Northのもの。




tips til amaryllis

アマリリスについてのヒント

アマリリスの茎は空洞で、中に水を注げるので、花をより長持ちさせられる。茎が柔らかくなる傾向があり、棒を立て補強することが可能。茎の下部分が割れた場合、テープを周りに貼れば、針金を通し留め金を作って吊り下げるのにも耐えうる。上の写真のような、茎の空洞をうまく利用したデコレーション方法もある。






<BO BEDRE 2020年11月号>

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